地域住民も、旅行者も、「共に幸せになれる」 カナダの再生型観光体験素材【カナダ観光局】
観光によって、「カナダ国内の人々の経済的繁栄とウェルビーング向上」と同時に、「旅行者に人生が豊かになる充実した体験を提供する」ことを目指す、カナダのリジェネラティ・ツーリズム(再生型観光)。ここでは具体的にカナダ全土で体験できる再生型観光の素材を紹介したい。
壮大な自然と独自の文化、地域に根ざすホスピタリティ
アトランティック・カナダ「ユネスコ回廊」
ニューファンドランド&ラブラドール州
ノバ・スコシア州
ニュー・ブランズウィック州
ウェブサイト
カナダ東部のアトランティック・カナダには、13のユネスコ登録サイト(7つの世界遺産と3つの世界ジオパーク、3つのエコパーク)が点在する。それらを巡ることで、珍しい生態系や手つかずの自然など、地球の雄大さを感じたり、また歴史や文化の豊かな魅力に触れたりできる。
「ユネスコ回廊」は、地域全体の魅力の創出と、回遊による地域分散を目的に、関係各所が協力し合い、再生型観光による地域住民と旅行者双方が満足できる体験素材の開発を行う新たなプロジェクト。
日本マーケットにおいては、カナダ観光局が先導役として「本物志向」の体験を求める層への訴求を展開。壮大な自然と独自の文化、地域に根ざしたホスピタリティに触れられる代表的な体験素材を挙げてみた。
地球の驚異に出会える圧倒的絶景
グロス・モーン国立公園
ニューファンドランド&ラブラドール州
ウェブサイト

高いところで700mを超える断崖絶壁と、入り組んだフィヨルドが織りなす壮大な景観は、大昔にこの地を覆った氷河が長い年月をかけて刻んだもの。また、赤茶けた巨大な台地「テーブルランド」は、地中深くのマントルが地表に露出した、世界でも稀な地質学的奇観。持続可能な形で整備されたハイキングコースを歩けば、圧倒的な絶景を前に、太古の歴史から育まれた地球の壮大で多彩なストーリーを体感できるだろう。

カラフルな街並みがフォトジェニックな港町
ルーネンバーグ
ノバ・スコシア州
ウェブサイト

イギリス植民地時代の整然とした町割に18~19世紀のカラフルな木造建築が建ち並ぶ。住民たちは、古くからの町並みや建物を大切に受け継ぎ、変わらぬ風景と町のアイデンティティーを守り続けてきた。港には歴史ある帆船が係留され、海洋文化の息づく風景が広がる。教会や小さなショップ、博物館を巡りながら当時の雰囲気を感じたり、レストランで地元の新鮮なシーフードを味わったり、時間がゆっくりと流れる町を満喫したい。

世界最大級の干潮差ダイナミックな自然の姿を間近に
ファンディエコパーク
ニュー・ブランズウィック州
ウェブサイト

ファンディ湾の干潮差は、15mで世界最大級。この潮の満ち引きが作り上げた奇岩が印象的なホープウェル・ロックス(写真)では、干潮時には海底(海辺)を歩き、満潮時は同じ場所をカヤックで行くことができる。またホエールウォッチングやトレッキングなどのアクティビティも充実。このエリアでは、珍しい地層や豊かな生態系が存在し、自然と共存する形で、農地や町が形成され、持続可能な経済活動が営まれている。

煉瓦工場を元の環境に戻して再生した複合施設
エバーグリーン・ブリックワークス
オンタリオ州
ウェブサイト

1889年の創業から1980年代の閉鎖まで、約100年にわたってレンガを生産し続けた工場と採掘場の跡地を、元の環境に戻そうという試みのなかで生まれた複合施設。
運営は、カナダ全土で活動する環境保護団体「エバーグリーン」が行なう。敷地内には、エコやオーガニック、地産地消のコンセプトを掲げたカフェや雑貨店が軒を連ね、さまざまなイベントも開催。持続可能な未来へ向けたアイコン的存在になっている。
トロント郊外にあるので、アクセスしやすいのも便利。

先住民ガイドから自然と共生する知恵を学ぶ
マヒカン・トレイル
アルバータ州
ウェブサイト

この地で暮らす先住民クリー族がカナディアン・ロッキーの森や草原をガイドするツアーで、先住民の知恵と伝統に触れる貴重な体験ができる。
なかでも「メディスンウォーク」は、ガイドから薬草として利用されてきた植物や木々の識別方法を学んだり、薬草を使って石鹸を作るワークショップなど、実用的な活用法を学んだりすることで、自然との深いつながりを感じることができる。
さらに先住民が培ってきたサバイバル技術や文化的背景に触れることで、森の奥深い魅力を再発見。ワークショップなどを通じて、持続可能な生き方や先住民の価値観を学ぶ機会を提供している。

持続可能な漁業に触れ、新鮮なロブスターに舌鼓
ロブスター漁
プリンス・エドワード島州
ウェブサイト

プリンス・エドワード島(PEI)のロブスター漁は、海のエコラベルとされる「MSC(海洋管理協議会)」認証を取得し、持続可能な漁業として厳しい規定のもとで行われている。ライセンス制度や漁獲時期の管理、トラップの数やサイズ、産卵期のメスの保護など、資源を守りながら漁業を継続するための厳格なルールが定められている。
ロブスターツアーでは、現役の漁師がガイドを務め、ロブスターの生態や漁のルール、伝統的な漁法を紹介。観光向けにアレンジされた漁体験では、トラップを引き上げる様子を間近で見学し、ロブスター漁の雰囲気を体感できる。クルーズを楽しみながら味わう新鮮なロブスターは、格別の美味しさだ。ツアーは毎年7・8月限定で開催。

←前のページ「「観光の力」で解決する カナダが目指す「リジェネラティブ・ツーリズム」」