「日本市場にとって重要な年」 業界との連携で海外旅行市場のシェア拡大を目指す【ハワイ州観光局 日本支局 ①】
日本発の海外旅行市場が着実に回復するなか、ハワイ州観光局 日本支局(HTJ)は、旅行会社や航空会社、現地ホテル、アトラクションなどの業界パートナーとの連携を重視、一体となって海外旅行の需要を盛り上げることで、アウトバウンド市場におけるハワイのシェア拡大を目指す。
具体的には、ファミリー層などを意識した即効性のある短期施策や、隣島への誘導を含む新たな各島のブランディングによる中長期のマーケティング展開を推進。また、公式日本語サイト「allhawaii」やYouTubeチャンネルなど、観光局が提供するコンテンツの拡充、教育旅行や「サテライトオフィス」を
活用した販売店向け施策にも注力、2025年を「日本市場にとって重要な年」と位置付ける。
観光局の一連の施策について、日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏をはじめ、スタッフに話を伺った。

ミツエ・ヴァーレイ氏
マーケット現況
日本市場に大きなチャンス
短期、中長期の「二刀流」で盛り上げる
ハワイへの日本人訪問者数は、2024年72万488人に達し、前年比22.3%増、最新の2025年1月の単月では5万4296人で前年同月比2.6%増となった。依然円安や物価高、世界情勢など、さまざまな要因は残るものの、「数値は年々右肩上がりで日本マーケットは戻っている」状況だ。
一方、コロナ後好調だったアメリカ本土からの需要が一段落していることから、「ハワイにとって国際マーケットでNo.1である日本にはチャンスがある」と期待を見せる。
例えば、円安傾向が続くなか、「円高まで待つ傾向が徐々に薄れてくれば、ファミリー層で子どもがまだ小さい今こそハワイへ行こう、といった流れが出る可能性がある」と指摘。「今年はいろいろな動きが出てくる。マーケットの動きを把握し、業界と連動したサポートをしていく必要がある」との見通しを示す。
引き続き日本マーケットを盛り上げるためには、旅行会社や航空会社など、業界との協力態勢が不可欠。日本におけるアウトバウンド市場でのハワイのシェアを上げていくため、観光局では、短期的な視点と、中長期的な視点に基づいた「二刀流」の施策やマーケティング展開を進めていく方針。特に「日本マーケットにとって、2025年はとても重要な年となる」と強調する。
短期施策
即効性の高い販促を4~6月に投下
「やっぱりハワイ」をファミリー層にも、夏休みを意識
短期施策として注力していくのが、「確実な予約につながる即効性の高いプロモーション」だ。旅行会社や航空会社など、「各社の戦略や販促のタイミングに合わせた内容を観光局として提供し、各社のニーズに沿った形で連動させる」意向で、特に夏休みの旅行需要に向けた第二四半期となる4~6月のキャンペーン展開を重視。「ある程度円安に慣れてきた状況でもあるので、4~6月のできるだけ早い段階にリソースを投下し、マーケティングの素材を絡めながらブッキング・プロモーションを誘導していきたい」(ハワイ州観光局 日本支局 局次長 寺本竜太氏)考えだ。

局次長 寺本竜太氏
マーケティング面においては、現在展開中のキャンペーン「やっぱりハワイ」のターゲットをファミリー層にも拡大、夏休みの旅行需要を意識した第二四半期(4~6月)での露出を強化する。同キャンペーンは、コロナ後の需要喚起を目的に2023年秋にスタート。まずは即効性の高い「親孝行」や「ロマンス」をターゲットに展開している。
キャンペーンでは、ファミリー向けに新たな動画を製作。三世代のファミリー旅行を紹介する内容で、「どの世代にも楽しめるハワイがコンセプト。子どもにも大人にも寄せずに全員が主役の家族旅を趣旨に公開している」(ハワイ州観光局 日本支局シニアマーケティングマネジャー髙橋あやか氏)という。
「やっぱりハワイ」キャンペーンでは、「さまざまな場所で、海外旅行に興味、関心がある層に向けた」広告を展開。具体的には、観光局が認定する「サテライトオフィス」の店舗やデジタル広告、交通広告等で露出を行う。
また店舗でのディスプレイや旅行商品パンフレットの素材として活用できるよう、画像や動画などの素材もキャンペーンに合わせて拡充。旅行会社や航空会社など、「業界全体で取り組んでいきたい」(ヴァーレイ氏)考えを示す。
特に店舗を持つ旅行会社においては、「店舗自体をひとつの広告メディアと捉え、できるだけ同じ素材を用いて、一体感を出すような協業やプロモーションをやっていきたい」(寺本氏)という。
こうした即効性の高いプロモーションは、「評判が良く、組みやすいとの評判を頂いている」とのこと。今後もこうした展開を強化、継続していく方針だ。

エコノミークラスの需要喚起で供給増へ
早期予約など促す
短期施策においては、航空座席供給の確保も重要。ビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスなど、上級クラスが好調な一方、エコノミークラスの需要を高めて便数や座席数を増やしていく意向。特に関西や福岡など、西日本地域では「安定供給を死守し、できるだけ早いタイミングで復便を促すことが重要」(寺本氏)という。
その意味でも「『やっぱりハワイ』キャンペーンを軸とし、4~6月はしっかりと訴求しなければならない」(ヴァーレイ氏)と強調する。
また、団体を含む早期予約を促す施策も進める。「年末年始やゴールデンウイーク、夏休みなど、早期に予約する動きが見られた。早割などの早期取り込み施策を仕掛けていきたい」(寺本氏)とのことで、旅行会社や航空会社と組んだ早割キャンペーンなどを検討していく。
中長期マーケティング
「Beautiful Hawaiʻi」で各島リブランディング
隣島へ誘致、若年層などファーストタイマー獲得に注力

中長期のマーケティング展開においては、各島のリブランディングを進める。「Beautiful Hawaiʻi(ビューティフルハワイ)」キャンペーンを軸に各島のイメージを訴求、隣島への誘致を図るほか、若年層などファーストタイマーの獲得を目指す。
展開はデジタルと交通広告が中心となるが、シネマアドなどにも活用できるような魅力的な動画で新たなアイランドブランディングを打ち出していく方針。「ファーストタイマー、オールターゲットを意識し、オアフ島以外の島に行ったことがない人もターゲットとなる。ハワイの自然や文化、人など、より深いハワイの魅力をダイナミックに見せていきたい」(髙橋氏)という。
なかでも力を入れるのが新しいハワイの魅力を伝えること。「各島の魅力はもちろん、『こんなハワイもあるんだ』ということも含め、『ハワイ=オアフ島』や、ワイキキだけではないということを訴求していきたい」ということで、従来のイメージを打破した新しいハワイのイメージを打ち出すことで、ファーストタイマーの掘り起こしを図る。
特に「ハワイの新しいイメージを構築しなければならない。ハワイに興味をもってもらう最初の入口として感情に訴えかけるものでなければならない」と指摘。ショート動画を含む動画をソーシャルメディア(YouTube、TikTok)を使ったアプローチで展開していく意向だ。
キャンペーンは、5月の「HAWAIʻI EXPO」の開催に合わせてスタート。短期戦略の「やっぱりハワイ」と並行して展開していく。
旅行会社に向けては、隣島の旅行商品造成を働きかけていく。「島の日帰りツアーも増えているなか、オアフ島だけではない隣島の商品開発は地道にしっかりと進めていただきたい」とのことで、隣島へのFAMツアーや、画像や動画などの素材を充実させる。

シニアマーケティングマネジャー
髙橋あやか氏
イベント
現地を体験する良い機会に
ジャパンサミット、4月18日に開催

今年も恒例の「ジャパンサミット」を4月18日に開催する。日本の旅行会社スタッフをハワイに招き、基調講演の他、現地サプライヤーとの商談の場も設ける。今年も約100名が参加する予定で、「コロナ禍にハワイを訪れていない販売店スタッフや商品企画担当者は多い。ジャパンサミットは現地ハワイを体験する良い機会。是非現地で一緒にハワイを盛り上げる施策を考えて欲しい」(ヴァーレイ氏)と期待を見せる。
「HAWAIʻI EXPO」、5月10〜11日に開催
ハワイ関連イベントにも積極的に協力

BtoC展開としては、一般消費者向けイベント「HAWAIʻI EXPO」を5月10~11日に東京の国立代々木競技場第二体育館で開催する予定。今回は、フラの競技大会「Ke Au Hou Festival 2025(ケアウホウフェスティバル)」とのコラボレーションで実施する。「日本にはフラ愛好家が約200万人いると言われている。ハワイへ行ったことがない人もたくさんいるので、ファーストタイマーとして一番のターゲットになる」と力を入れる。
同イベント以外にも、全国各地でハワイ関連のイベントが開催されていることから、こうしたイベントへの協賛や協力も積極的に行っていく意向。「北は北海道から南は沖縄まで、チャンスがまだまだたくさんある。そこへちゃんとリーチできるよう、積極的にアプローチできるBtoCイベントはしっかり捉えていきたい」と意欲を見せる。